買い替え特例を使っていませんか

2024/11/23
買い替え特例を使っていませんか

マイホームを買い替える時、多くの方が今住んでいる家を売却されますが、不動産を売却して利益が出ると「譲渡所得税」を納めなければなりません。

税金がかかるのはわかるけど、次の家を買うのに少しでも多くお金を手元に残しておきたい、このようなときに利⽤できる制度が「買い換え特例」 です。

制度を利⽤すれば、 譲渡所得税の納付を新居の売却時まで繰り延べることができます。 税⾦を納めるために預貯⾦を崩す、もしくは⾦融機関から融資を受けるといった必要がなくなるメリットがあります。

ただし、自宅売却の3000万円特別控除と併せて使うことはできません。そのため、買い替え特例は3000万円を超える高額な売買でよく使われています。

 

ここまでの内容で、何が「相続」に関係するのかと思われますが、注意が必要なのは「譲渡所得税の納付を新居の売却時まで繰り延べる」ことです。

買い替え特例を使う方は、新しい家を終の棲家と考え、売却の意志がない方です。さらにこの制度には、売却する古い家は「10年以上の期間、居住していた物件であること」との定めがあるため、比較的年齢の高い方が使っていることが多いのです。

 

なんとなく気づいた方もいらっしゃると思います。

そう、この制度は「相続されてしまう」のです。

制度を使った方が生涯居住していることが条件ではなく、あくまで「新居を売却するまで」が条件だからです。もちろん、空き家売却や自宅売却の3000万円特別控除は使えますが、それはあくまで「新居」だった家を売却した利益に対するもので、「新居」購入前に繰り延べた税金に使うことはできません。そのうえ、繰り延べた税金には特別控除を使うことができないので、結構厳しい金額になることが予想されます。

 

また、この制度は使ったかどうかの告知がないことも怖い点です。「新居」を残してくれた方やその配偶者などが言い残してくれるか、税務署で個別に確認するかしない限り、税金の有無がわからないので、売却後に思わぬ税金の督促が!になる可能性があるのです。

 

買い替え特例の制度は、使われている期間が長くなってきたため、繰り延べた税金の支払いが売却の問題になるケースが出てきました。

「新居」を残す方も残される方も、お心当たりがある場合は、早めに税務署で税金の確認をされることをお勧めします。

正直、税金対策ができるものではありませんが、心構えが変わりますからね。