【賃貸不動産相続トラブル】 相続人が決まらない その①

相続が争続になって思わぬ事態になってしまう。
どこかのドラマみたいなお話に聞こえますが、これが賃貸不動産の相続だった場合、『思わぬ事態』は家族だけでなく、賃借人や管理会社などの第三者も巻き込んで大事になってしまうことがあります。
「こんなつもりじゃなかった!」と思うことのないよう、転ばぬ先の予備知識。
どこにでもありそうな家族の賃貸不動産相続トラブルを事例と合わせてお話いたします。
最初のテーマは【相続人が決まらない】です。
ある時、Aオーナーが亡くなられました。ご高齢のうえご病気も患っていらしたので、誰も驚くことなく、四十九日も過ぎた頃に、管理会社は相続人の方と賃貸管理契約の引継ぎを行おうとしました。ところが、そこで「賃貸物件の相続人が決まっていない」ことがわかったのです。
亡くなられたAオーナーは未亡人で、相続人となるのは3人のお嬢様です。
Aオーナーはご自宅の他に自営業の事務所や駐車場などいくつかの不動産を所有されおり、その不動産の一つに賃貸している分譲マンションの部屋がありました。
事業を承継された長女さんが事務所や駐車場を、お母様と同居して介護を頑張られた次女さんが自宅を相続されることが決まり、三女さんは不動産の相続はしないと言われていました。
何の問題もなく相続が進むと思われていたのですが、賃貸中の分譲マンションの部屋の相続について、長女さんと次女さんの両方が「自分が相続する」と言い出したことで、姉妹喧嘩が勃発してしまったのです。
長女さんと次女さん、お互いが譲らないことで相続の手続きが全てストップしてしまいました。賃貸中のマンションには入居者もいらっしゃるのにです。このままでは、万一マンションの設備などに故障が起きた場合、誰が修理費用を支払うのでしょう。
次回は、相続人が決まらない賃貸物件にどのような問題があるのかをお話いたします。
その②に続きます。