兄弟姉妹は家族の始まり その⑤
その④からの続き
一般的に「同意書」は他人と取り交わすことがほとんどで、契約書のような効力を持たせます。代わって、親族間では「約束した内容を表する書面」程度を作る方が多く、法的な拘束力まで求めていないことも多々あります。そのため「同意書」と言われて、皆様が連想したのが『法的な拘束力がある同意書』だったようです。
この狙いは当たっていました。目的を記した一枚の書面に全員で名前を書き、印を押し、約束を違えれば責任重大…、と思って欲しいのです。
意外にも三女さんが一番に反応されました。
「私は遠くに住んでいるから、家の片付けとか、売却とかは色々手伝えるわけじゃない。でも、甥と姪には私が説明するから、みんなで同意書を作りましょう。誰も反対なんかしないわよ。みんなが名前を書けば長男兄さんも安心するでしょう」
この意見に、次男さんや他の姉妹も賛成の言葉が続きます。皆さん気付かれたようです。気持ちを縛るのは皆さんではなく、長男さんだということ。長男さんは兄弟姉妹を信用していないのではなく、何か背中を押してくれる強力な「きっかけ」が必要だということに。
相続の登記や不動産の売却について異存がないこと、荷物の片付けに長男さんの引っ越しの手配等々この先誰がどんなことをするのか、不動産を売却して受け取ったお金をどのように贈与していくのか、皆さんと話し合った内容を、あたかも契約書面のような文章にした書面を作って(弊社が)、兄弟姉妹が全員で記名・押印していきます。
正直なところ、内容は約束書でいいよねってくらいですが、散らばっている甥姪に郵送して印をもらったり、全員の控えを作ったり、契約書類と同じように締結の流れを進めます。
儀式のように進んでいくことで、長男さんも気持ちも決まってきたようです。
さあ、いよいよ実動です。
その⑥に続きます。