兄弟姉妹は家族の始まり その⑥

2023/09/16
兄弟姉妹は家族の始まり その⑥

その⑤からの続き

次男さんをリーダーにご実家の売却が始まりました。

皆さんのご実家は市内でも生活利便性の高い地域にあったので、売出しを始めるとすぐに購入希望者が現れました。引渡し条件を、建物を解体し、更地にしてお渡しすることにしていたので、一気に建物内の荷物の整理・処分、相続の登記手続き、お兄様の引っ越し、解体工事と続きます。皆さんは一丸となって進んでいかれます。お約束の通りです。

あれよあれよと様変わりしていくご実家の様子に、長男さんのお気持ちが心配だったのですが、こちらは長女さんと次女さんが寄り添って、ご一緒に思い出の荷物を片付け、ご自分たちのお住まいの近くに長男さんの住まいを決めて、あっという間に引っ張って行ってしまいました。壮年の女性パワー恐るべしです。

相続の登記手続きや不動産の売買契約、解体工事などは次男さんが孤軍奮闘。

本例の不動産の売買では、買主様が住宅ローンの融資を受けるため、契約から引渡しまでに3週間程度の期間がありますが、その間に相続登記と解体工事を完了させないとならないため、次男さんの作業は目白押しです。弊社とも毎日のように連絡や確認、打合せが続きます。

おそらく、皆さんにとって怒涛の1カ月が過ぎた頃、お引渡しの準備が終わりました。

更地になったご実家の現地確認に来られたのは、次男さんだけ。

「兄や妹たちは更地になった実家を見たら、寂しくなるでしょう。だから、私だけ来ました」

笑っておっしゃいますが、次男さんも寂しいのかもしれません。

「買主様は、お引渡し後はすぐに着工されるご予定ですから、皆様が次にここをご覧になる時には、新しい家が建っているかもしれませんね」

私がそう話しかけると、

「そうですね。楽しみですね」と、次男さんも笑ってくださいました。

 

売却後も皆様とのご縁は続き、兄弟姉妹が仲良く過ごしていらっしゃるお話を伺うことができました。実家が無くなっても皆さんの絆にお変わりはないようです。

そこで言われたことは、長男さんが一人になったり、誰もいなくて荒れていく実家を見るより、『新しい家族がその場所を引き継いでくれたことが嬉しい』ということでした。

実は、相続人の人数が多いと途中で仲たがいすることが多く、このご兄弟姉妹のように一致団結される方々は以外と少ないのです。

ご実家を手放すことは誰にとっても寂しいく、生活を変えることは大変なことです。けれど、思い出は心の中に詰まっています。ご兄弟姉妹の絆もずっと続きます。