【賃貸不動産相続トラブル】 相続人が決まらない その②

2025/04/19
【賃貸不動産相続トラブル】 相続人が決まらない その②

その①からの続き

相変わらず、長女さんと次女さんの主張は平行線のままです。

Aオーナーは遺言書を残されていなかったので、現在は三姉妹で賃貸マンションを共有している状態です。

たとえ『状態だけが共有』でも、基本的には通常の共有と同じなので、共有を解消するまで(今回は遺産分割が成立するまで)は、賃貸マンションから生じる家賃や賃借人の退去にかかる費用などは持分(法定相続分)に応じて分けるのが原則です。また、補修などを行うにも固定資産税を支払うにも、共有ならではの決まりがあります。どんな決まりがあるのか見てみましょう。

 

①賃貸不動産から生ずる家賃収入は、各共有者が法定相続分に応じて取得する。

②各共有者はその持分に応じて、共有する不動産にかかる費用を負担する。

③固定資産税・都市計画税の納付書は代表者に送られるが、期限までに納付しなかった場合に届く督促状は他の共有者にも送付される。※税金の支払い義務は所有者全員にある。

④共有財産の処分・変更を加える行為(軽微な変更を除く)については、共有者全員の合意が必要。

⑤共有財産の軽微な変更・管理行為については、原則として各共有者の持分の過半数の合意が必要。

⑥共有財産の保存行為については、各共有者が単独で行うことができる。

 

Aオーナーが残したマンションでは、姉妹がもめている間も部屋の賃借人から管理会社へ賃料が支払われています。本来、管理会社は毎月決められた日にオーナー様へ、賃借人からお預かりした賃料をお振込みしますが、賃貸マンションの相続人が決まらないので、①に対する問題が出てきました。

自分が全ての所有者だと主張する人が二人と所有権がないという人が一人、誰に賃料を渡せばいいのかわからないので、管理会社は賃料をお振込みすることができなくなったのです。

その③に続きます。