介護などの貢献は「寄与分」で反映
2023/10/14
仲良し家族にも、仲良くない家族にも、相続の問題はやってきます。
「親を介護した子供」と「親を介護しなかった子供」、法定相続分では同じ割合で財産を相続します。
でも、待って!介護が長くなればなるほど、「親を介護した子供」は労力や金銭で大きな負担をしています。
これでは、まったく平等じゃありません。
この負担を少しでも解消できるのが、民法にある「寄与分」という考え方です。
親の介護を引き受けていた子供が、他の子供より多く遺産を引き継ぐというものです。
心情的には皆さん理解できることなのですが、金額で合意できないという話も多く聞かれることではありますが…。
そこで、「寄与分」を計算するのに、裁判所で使われる目安となる計算式があります。
※①日当:6000円 × ②介護にかけた日数 × ③裁量的割合 = 寄与分
①の日当は、「介護保険の介護報酬基準額」です。
他人に介護を任せた場合に必要になる対価と考えられます。
②の日数は、介護にかかった日数
③の「裁量的割合」がわかりづらいですが、他の家族の助け合いの義務や協力の度合いを踏まえて、裁判所が割引をおこなうものです。事情に合わせて「0.5」や「0.7」を掛けて調整します。
「寄与分」は介護だけでなく、「同居しての看護・介護」「親の事業に無償で従事」「継続して仕送り」「借金の肩代わり」などでも適用されます。
相続に不平等問題があるご家族は、この制度で少しでも解消できればいいですね。
ちなみに、「嫁」が「義理の親」を介護した場合など、法定相続人ではないですが「特別寄与料」として認められる場合があります。この場合は「相続」ではなく「遺贈」となります。
世のお嫁さま方、苦労はねぎらっていただきましょうよ。