お得かも?孫への生前贈与
相続対策の一つとして、『孫へ生前贈与する』という方法があります。
この場合の孫は、「代襲相続で法定相続人になっていない孫」です。
簡単に言えば、親(あなたの子)が生きている子(あなたの孫)です。
親が亡くなって、親の相続人の地位を引き継いだ子は、ほぼ対象になりません。
「ほぼ」と言うのは、子も孫も同じように対象になる非課税贈与もあるからです。
まず、相続時の「持ち戻し期間が3年から7年に延長された」ことで、暦年贈与による相続対策は効果が少なくなりました。これ、前回お話した内容ですね。
ここでのポイントは、この持ち戻しがされるのは「法定相続人」に対してという点です。
『法定相続人ではない孫』には適用されないので、暦年贈与は貰ったままでOKなのです。
次に、孫に財産が直接移ると、相続を一代飛ばしたことになります。
相続税がかかる方の場合、相続税2回払うより、1回の方が払う税金が少なくて済みます。
でも、贈与税は相続税よりも割高の税金がかかります。
ここで、親や祖父母などの扶養義務者から、子や孫がもらった教育費や生活費に関して「通常費と認められるもの」は贈与税の対象外になるという制度を活用します。
子や孫を育てるのに当然の費用を負担する行為なので、贈与ではないとう考え方です。
贈与税の対象とならない「教育費」は、 ⼦や孫を教育する上で通常必要と認められる学費・教材費等を指します。通学のための交通費(定期券代など)や学級費・修学旅⾏参加費等も対象です。また「⽣活費」とは、 ⽇常⽣活を営むのに必要な費⽤で、治療費や養育費等も含みます。
ただし、数年分の学費等を⼀括で贈与した場合、すぐに使わない分の⾦額は、贈与税の対象となります。ここは注意が必要です。
また、子や孫に使える非課税贈与には以下の制度もあります。
①教育資⾦の贈与の特例(2026年3⽉31⽇まで)
②住宅取得等資⾦の贈与の特例(2026年12⽉31⽇まで)
③結婚・ ⼦育て資⾦の贈与の特例(2025年3⽉31⽇まで)
各制度に年齢と金額の制限があります。そのため、相続を考える年齢の方からすると、贈与する相手はほとんど『孫』ということになると思います。
孫は子供より人数が増えることが多いので、不公平にならないようにするのが大変といった注意点もありますが、相続としては魅力ある制度がたくさんありますので、一考してみてはいかがでしょうか。