ご利用は計画的に その④
2024/08/17
その③からの続き
相続人にとって、亡きお父様の計画は寝耳に水と言っても過言ではない状態です。土地を相続したのはいいけれど、どうすることもできない古い計画に縛られています。
もはや鯉の養殖池を作ることは現実的ではなく、農地に戻すにも休耕の期間が長すぎて、畑に適さない状態になっています。
「以前の計画は必要なくなっているので、何か計画を止める方法はないんですか?」
その質問に、農業委員さんは言いにくそうに答えてくれました。
「以前の申請が必要なくなったことに、当時の関係者全員の承諾と印をいただければ、申請を取り下げることができます」
「………」
言った農業委員さんも、聞いた私も、次の言葉が出しにくい状態です。
戦後の高度経済成長期に承認された計画の関係者全員が今も元気に存命ということは、まず考えられません。ご存命としても承認印が押せるほど心身共にお元気なのか?亡くなった方もいるのではないか?どう考えても無理な気持ちがひしひしです。
「関係者の中にはお亡くなりになった方もいらっしゃるのでは?」
「はい、亡くなっている方がいます」
「亡くなった方からは承認印がいただけませんよね。どなたに引継ぎをお願いすればいいのですか?」
「押印した本人以外は、変更の承認印は押せません」
「亡くなった方の印がなければ計画が止められないのでは、止める方法が無いじゃないですか」
「方法が無い訳じゃありません。鯉の養殖池と事務所を作って完了の承認を受けた後、農地に戻せば、新しい申請が出せます」
いやいやいや、時間もお金も労力も、無理ですよね。
その⑤へ続きます。