住み慣れた我が家で暮らしていこう
2023/10/28
知っているようで、あまり知られていない権利に「配偶者居住権」があります。
被相続人(多いのは夫ですね)が亡くなった場合に、その配偶者(主に妻)が長年住み慣れた我が家に住み続けることができる権利です。
「家を相続すれば住み続けられるのでは?」と思った皆様。
そう思うのも無理はありません。配偶者は常に相続人になるので、一見問題ないように感じます。しかし、現実はそう甘くないのです。
よほどの資産家でない限り、「家」は財産の大部分を占めていることがほとんどです。
妻が「家」を相続すると、他の相続人(主に子供)は現預金を相続することになります。そうなると、妻には老後資金が残らなくなります。
そうなると、高齢化している妻は働く手段がほとんどないので、生活のために相続した「家」を手放さざるを得なくなります。
この問題のため、父親からの相続時に子供が相続を放棄して、「家」も「現預金」も母親に相続させてしまい、母親からの相続時に二次相続(財産がまとまっているので相続税がかかる)という、さらなる問題を引き起こしていたのです。
が、「配偶者居住権」を使えば、子供が相続した「家」に母親(妻)は無償で住み続けることができます。
もちろん、これで全ても問題が解決することはありません。配偶者居住権の付いた家は売買が難しくなるので、母親の存命中は何もできなくなるうえ、固定資産税の負担や修繕等の義務は所有者である子供にかかることになるなど、将来のトラブルになるそうな点もあります。
2020年4月に新設された、まだ新しい制度なのでその効果は未知数ですが、将来を考えて上手に利用できれば家族を助ける力になると思います。