その②からの続き

もうすぐお盆という頃、遠方に住んでいる三女さんが里帰りされ、兄弟姉妹が実家に集まりました。長男・次男・長女・次女・三女…と、私。第三者の聞き取り役です。

このご家族は皆様、お話される様子が穏やかなので、当事者だけで話すと喧嘩になる、なんてことはありませんが、お互いに相手を思いやりすぎて話がまとまらない可能性があります。そんな時は第三者が入って、話題が逸れてしまわないように軌道修正していくと、スムーズに結論に達することが多々あります。

で、話の口火を切ったのは三女さん

「財産をもらうことに、長男兄さんは何が嫌なの？」

長男さんは口が重い感じに、お母様の思い出や実家はそこまで老朽化していないと思うなど、ごにょごにょお話されましたが、他の兄弟姉妹は腑に落ちていません。

財産を譲る皆様は、相続を解決すると言うより、長男さんを心配している様子が見てとれます。でも、このまま長男さんのお話を聞き続けても、本音を話してはくださいません。

そこで、私は一番にお聞きしたい質問をすることにしました。

 

「長男様、ご実家をお出になったら、どんな所にお住まいになるのですか？」

これは実家を出た後、どんな生活をするのか。明確なビジョンがあるかどうかを確認するものです。

住み替えを要する方には、このビジョンが無いため、新しい生活を過度に不安に思う方があります。長男さんもこのタイプに見えました。このタイプは、少しでも長く現状を維持しようとします。不安と言えず、なんやかや理由をつけて問題を先送りにするのです。

だから『もちろん、当然に決まってますよね』の風でお尋ねします。

その④に続きます。

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