土地・建物の取得費とは

2024/06/08
土地・建物の取得費とは

「空き家を売却した際の3000万控除」新耐震の家には使えないこと、前回お話しました。

元々、旧耐震の空き家の流通を活性化させることを目的として作られた制度なので、使える期間が延長されても、対象建物の建築時期が見直される目途はありません。これから増々、3000万円控除が使えない新耐震の相続空き家が出てくると思います。

 

しかも、新耐震と言っても相続した空き家は築30年を越えるものが多く、旧耐震の空き家と比べて大きく売却金額が上がるワケではありません。なのに、税金に3000万円の控除があるかないかで支払う税金の金額が大きく変わり、多くの場合で100万円~200万円くらいの支払いが…、これは本当に大きな違いです。

 

この税金は「不動産譲渡税」なのですが、不動産を売却した利益にかかるものなので、利益がなければ税金もかかりません。

利益は、「売買金額-費用」で算出されるので、費用が大きくなると、利益は小さくなります。この費用には、業者に支払う手数料・契約書に貼る印紙代・売却するために行った建物の解体・土地の測量等の経費及び「売買代金の5%の取得費」が認められます。

 

この「取得費」は、不動産を取得(購入)した時に支払った金額のことです。

土地:1000万円+建物:2000万円で購入した家の場合、「土地:1000万円+建物:築年数に合わせた減価償却後の金額」が取得費に認められます。

仮に、2000万円で上記の家を売却すると、5%の取得費は「100万円」ですが、

購入した費用を取得費にできる場合、少なくとも土地の「1000万円」は取得費にできます。

費用が増えると利益が減ることになるので、税金がかけられる金額が小さくなります。税金が減る!ということです。

 

ただし、この「取得費」は「家を購入した親」から「子」が直接相続した場合しか引き継ぐことができません。おじいさんが払った費用を「孫」が引き継ぐことはできないのです。

また、土地は経年劣化することがないので購入金額が減ることはありませんが、建物は築年数分の減価がされた金額になります。

これらを証明するためには、家を買った時の「領収書」や「契約書(印紙・金額の記載あり)」が必要になります。土地と建物の合計金額で記載されていても、築年数と建物面積から土地と建物の金額を算出することができるようになっています。(税務署で教えてくれます)

でも、領収書などの金額を証明するものがないと、一律5%しか認めてくれません。そんな重要書類をうっかり捨ててしまう方もいるので注意も必要です。

 

あなたの親御さんの家は「いつ」「だれ」が建てた家ですか?

重要書類はありますか?

引き継ぐ家を知ることから、相続に備えていきましょう。