居場所のわからない相続人の探し方
以前、隣の敷地の一部を通行したいので頼んで欲しいとの相談がありました。
お声掛けだけならとお話に伺ったのですが、
「登記に書かれている所有者は亡くなった父です。父には愛人との子供がいましたが、その子供がどこにいるのかわからないので、土地のお話は一切できません。愛人の子供を探す気は一切ありません」とケンモホロロのとんでも案件でした。
こんな極端な例は別として、居場所がわからない相続人がいると他の相続人は手続きに困ってしまい、なんとか探せないかと頑張っていらっしゃいます。
相続人の居場所を探す手段として、市役所で相続人の住民票または戸籍の附票を取得し、住所を調査する方法があります。これで住所がわかれば、その住所宛てに手紙を送付し、相続のお話を始めることができます。
送った手紙に反応がなかった場合、遺産分割調停申立を行い、家庭裁判所から調停の書類を送ってもらいます。裁判所からの連絡には返答する相続人が結構いるので、これで手続きが進むことが多いです。
また、市役所が個人情報保護の観点から、他の相続人へ住民票などを開示してくれないこともあるようです。その場合、司法書士や弁護士に依頼して、職権で住所を確認してもらうこともできます。
問題が大きいのは、住民票の住所にだれも住んでいない場合です。
このような場合には、不在者財産管理人を選任して、不在者財産管理人と遺産分割手続きを進めることになります。
不在者財産管理人の選任には、数カ月の期間と数十万円の費用がかかるので、他の相続人の負担は大きくなります。それでも相続を放置できないケースも多々あることでしょう。
このように難しい状況になっていくと、他の相続人だけで手続きを進めていくのは難しいと言わざるを得ません。弁護士などのプロに依頼して解決を図る方が安心です。