消し忘れにご注意ください

2025/01/11
消し忘れにご注意ください

明けましておめでとうございます。

2025年も皆様が安心して相続に向かっていけるよう、頑張ってサポートいたします。

何とぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

今年も既にやってまいりました。

何って、不動産相続のプチトラブルです。ぷちっとな。

 

相続した物件の売却を相談されて、土地の登記簿を確認したところ、昭和52年に設定された「根抵当権」が残っていました。限度額は200万円、少額です。

「根抵当権」は自営業をしていた方の多くが設定していた融資枠なので、実際の借金は無く、登記された抵当権を消し忘れていただけと思われました。

続けて見ていくと、土地登記簿の「共同担保」欄に建物の記載が…あるんです、ムムム。

相談者のご実家は、隣家で起こった火災で一部延焼してしまったため、すでに取り壊されて更地になっています。共同担保の建物はどこにも無いのにです。

 

というわけで、この土地には「借りていない借金の担保」と「取り壊されて無くなった建物」があることになっていました。

もちろん、このままでは土地を売却することはできません。無いものは「無い」と手続きしないとならないのです。

ただし、登記された事項を「無い」ことにするには、「本当に無い」ことを第三者の証明が必要です。抵当権は債権者として登記簿に記載されている金融機関、建物は解体を行った解体業者、それぞれが発行した証明書を添付しないと手続きすることができません。

もちろん、金融機関も解体業者も、対象物が無くなった後は登記事項を消さなければならないことを知っていますので、完了時には必ず証明書を発行されているのですが、これを紛失してしまう方が結構いらっしゃるんです。

 

実際の状況と登記の記載事項が一致していなくても日常生活で困ることはほとんどありませんし、相続登記で問題になることもありません。

そのため、証明書が無ければ登記事項が消せない→登記事項が消せないと売却が難しい、と困る状況になって、初めて慌てる方が続出してしまうのです。

 

でも、ここまではプチトラブルです。前述したとおり相続には問題がないため、消さないまま何代も相続していることがあります。

すると、明治時代の抵当権や昭和初期に解体した建物などが登記に残ってしまい、おじいさんの、そのまたお父さんの、などが原因になると「無いことの証明」はグンとハードルが上がってしまいます。こうなると大事です。

 

手間と負担と心労が増えてしまわないように、また、後代に残さないように、登記事項の消し忘れにはご注意ください。

ちなみに、抵当権は「抹消登記」で、司法書士へ依頼します。建物は「滅失登記」で、土地家屋調査士へ依頼します。依頼先も変わりますので、これまたご注意ください。